第1章 俺が乙ゲー転生ってマジですか?

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03話 おねだり    そしてそれから1年近く経った頃、俺はとうとう介護生活から脱却した! 本当はもっと早く歩くことは可能であった。 しかし、生後1、2ヶ月の赤ん坊が自由に歩きだしたら、流石に気味が悪すぎるだろう。 今世では前世と同じ轍を踏まない為に、能力を少しセーブする方向へと俺は考えをシフトしたのだった。 これでトイレも自分で行ける! 食事も離乳食になった! ……それでも相当早いが、俺にだってプライドというものがある。 背に腹は代えられないし、これならギリギリあの天然な母親も誤魔かせるだろう。 また、魔法についても独学で上達した。 簡単な回復魔法や生活魔法くらいなら、見よう見真似で使えるようになった。 そして、歩けるようになって気付いた事だが、俺の瞳には魔法陣らしきものが浮かんでいた。 鏡で見た時“邪眼”の文字が俺の頭を過った……ますます中二病くさい仕様だ。 俺は鏡に映る自分の瞳に指をそわせた。 鏡の中の赤と金のオッドアイ幼児と、途端に視線が絡む。 鏡の中の幼児はひどく不満そうな顔をしていた。 そうしているうちにガチャっと、ドアが開く音がした。 母親が仕事から帰ってきたようだ。 「リュー君ただいま~。いい子にしてたぁ?」 柔らかい笑顔を浮かべた母親が、俺を抱き上げて言った。
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