大学生活②

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「おはよう、静流。みてみて、蒼紗の格好、めちゃくちゃ似合っているでしょ。」    会うや否や、さっそく私の格好の自慢をしている。そんなに似合っているだろうか。周りの視線からはそのような感じはしない。むしろ、なぜ大学でコスプレをしている、頭おかしいよね、あの二人、と思われている気がする。    そして、今私のことを苗字ではなく、名前で呼んだ気がする。会って次の日なのにもう呼び捨てか。まだ友達と呼べるほどの仲ではない気がする。  やはり西園寺さんの行動は理解不能だ。とりあえず、名前呼びはやめてもらいたい。蒼紗なんて変な名前だ。お好み焼きにかける青のりみたいな名前で好きではない。漢字で書くとかっこよく見えるが、読んでみると、かわいくない。 「なんでいきなり名前呼びなんですか。ちょっと馴れ馴れしい気がしますが。」 「いいじゃない。私は蒼紗って名前、かわいくて素敵な名前だと思うわよ。名前呼びが馴れ馴れしいなら、私のことも桜華と呼んでもいいわよ。蒼紗には特別に許可する。」 「名前呼びは桜華の癖だ。許してやってくれ。別に変な名前ではないし、名前呼びぐらいいいだろう。服装の件については、確かに似合っていると思うぞ。似合っているとは思うが、ちゃんと朔夜に許可を得ているのか。いつもみたいに無理やり着せているように見えるが。」  イケメンは、前半の言葉を私に向けて、後半を西園寺さんに向けて言った。一応私の味方なのだろうか。 「許可なんているのかしら。こんなに似合っているのだから、別に関係ないと思うけれど。」 「そうだな。今まで着せてきた奴らの中では一番似合っているかもしれないな。やっと似合うやつが見つかってよかったな。朔夜には悪いが、これからこいつのことよろしく頼む。」      味方ではなかった。イケメンの信用は一気になくなった。私に西園寺さんを任されてしまった。ただ単に彼女の面倒を見てくれる人が見つかって楽になった、とでも思っているのだろうか。そういえば、このイケメンの名前を聞いていない。西園寺さんの発言にばかり気を取られていてそれどころではなかったのだが。
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