衝撃的な出会い①

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「私はこの大学に入学できたことを心から感謝しています。4年間、大学の名に恥じぬよう、精進していきたいと思います。」    壇上でも臆することなく、堂々とした態度で新入生代表挨拶を始めた。容姿もさることながら、声もまた美しい。少し低めのハイトーンな声が耳に心地よく入ってくる。容姿も声も最高、さらに新入生代表挨拶をするということは、頭もよいということで、「天は二物を与えず」ではなく、「二物以上与える」だ。世の中不公平である。  しかし、こういう才色兼備な人ほど性格が悪いかもしれない。一般人代表と自覚している私はお近づきになる機会はそうないだろう。    新入生代表挨拶終了後、何人かの偉い人の話が続き、話が退屈で眠気に負けて夢の中に旅立ちそうになった頃、ようやく入学式が終わりを告げた。 「これで入学式を終わります。学生の方は次の指示があるまでその場で待機してください。」  その後の指示で、学生はガイダンスが行われる教室へと移動となった。ぞろぞろと学生たちは講堂を出ていく。私もその流れに沿って講堂を出ようとしていたのだが、残念ながら私はその流れに沿って移動することはなかった。      ここで、私の大学生活を大きく変えることになった出会いが、私の行く手を阻んでいたのだった。いや、待ち受けていたのだった。
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