アルバイトの面接と生徒たちとの出会い②

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 突然、話をまとめにかかった瀧さんである。話が面接の本題に戻った。ここまでの話をしてもらっても正直、別に断っても問題ないと思うのだが。そもそもこの話を私にしてくれた意味がわからない。生徒にケモミミや尻尾が生えていたのは事実であり、その説明をするのにどれだけ時間をかけたのか。  外を見ると、あれだけ激しく降っていた雨はすっかり止んでいて、青空が広がっている。    そもそも、別に幽霊や能力者について、今聞いた話を他人に話したとしても、大多数の人間は私の作り話だと思うだろう。瀧さんはこの話を秘密にして欲しいとも言っていない。ただ、生徒のことは秘密にして欲しいようだった。何が私を塾でバイトする気にさせたのか瀧さんに私からも問いかけたい。 「バイトするかどうか決めかねている顔ですね。先ほど、あなたは生徒たちを見てかわいくて萌えると話していた。今後、あの子たちのような存在に出会える機会はそうそうありませんよ。それにあの子たちほどではないにしろ、この塾には小学生や中学生などのかわいらしい子供たちがたくさん通っています。彼らに勉強を教えてみたいと思いませんか。」    今度は謎の主張を始めた。どうしても私を塾の講師として働かせたいらしい。こんなに勧誘されては確かに断りにくい。別に子供たちに勉強を教えることには何の問題もない。むしろ瀧さんの言う通り、小学生や中学生のかわいらしい生徒に勉強を教えられることはとても魅力的である。それに、今日見たケモミミ尻尾の彼らと実際に話をしてみたい。  もしかしたら、瀧さんの話は嘘ではないと証明できるかもしれない。    私はこの時、わくわくとした気分が抑えられなかった。西園寺さんと一緒に行動することに楽しみを感じた時と同じような気分である。平穏平穏と言いながら、このような刺激的な生活にも心のどこかであこがれているのだろう。瀧という人物が怪しいと頭の中ではわかっていて、面倒事を押し付けてくるのは目に見えている。    
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