つかの間の平穏だと思ったが

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 それにしても同じセリフでも、言う人によって印象は変わる。この佐藤という人物ははっきり言って、地味だ。髪の毛は染めていないのか黒髪であり、目は一重で細い。スカートにブラウスという服装でどこにでもいる普通の学生である。  そんな彼女が私と友達になろうと言っているのだから、別に何の問題もないだろう。友達になろうという言葉だけで済んでいればの話だが。運命なんて言う言葉をつけたすのでは話が変わってくる。彼女も西園寺さんたちと同じ残念な性格のような気がする。どうしてこうも私の周りには残念な性格の人が集まってくるのだろう。    運命という言葉も気になるが、話しているときの目が気になる。友達になろうという割に目が笑っていない。どちらかというと、友達なんかではなく、恋敵を見るような目つきでにらんでくる。きっとあの美男美女にあこがれているのだろう。  あの二人はとにかく目立つので、私みたいな一般人が仲良くしているのが気に入らないのだろう。なぜ、あなたみたいな一般人が選ばれるのか、一般人なら自分を選んでもよかったはずなのにとでも思っているのだろうか。目を細めてにらんでくる様子にまるで蛇ににらまれているような気分になる。  また厄介な人物に目をつけられたものだ。あの二人がいなければいないで厄介な人間に絡まれる。面倒くさいものである。
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