つかの間の平穏だと思ったが

7/10
前へ
/189ページ
次へ
 店の外に出ると、また雨が降り出してきた。最近、私が何か行動を起こすたびに雨が降っている気がする。私はいつから雨女になったのだろう。今まで遠足や旅行で雨が降ったことなんてほとんどなかったのに。大学に入ってから変なことが続いている。一度、お払いにでも行った方がいいのだろうか。    それにしてもどこに行ってしまったのだろう。それとも、あれは私がみた幻覚だったのか。まるで、男の子を私から遠ざけるために雨が降っているかのようだった。雨はすぐにやみ、きれいな虹が見えている。一体全体私の周りで何が起こっているのだろう。    私が見たあの少年は、瀧さんの塾で見た生徒は幽霊だったはずである。幽霊だったら、他人には見えていないことになる。だとしたら、彼はケーキをどうやって注文して食べていたのだろうか。それとも、彼は本当は幽霊ではなくて、普通の人間だったということか。どちらにしても次のバイトで瀧さんに聞いてみる必要がある。    家に帰ると、どっと疲れが出てきてそのまま必要最低限、ご飯を食べたり、お風呂に入ったりした後、寝てしまった。どうしてこうも疲れるのか。それもこれもあの二人のせいだ。明日大学に来たら、どうして休んだのか問い詰めてやる。そう心に決めて、目をつむるとすぐに夢の中に旅立った。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加