61人が本棚に入れています
本棚に追加
私は警察とは違った。なんせ、つい先日、塾で一般人ではない能力者について説明を受けている。能力者には普通の人間とは異なる容姿をしていると瀧さんは言っていた。もしかしたら、被害者の男は本当に彼の頭に角があるのを見たのかもしれない。
イライラしてつい我を忘れて能力を使って殴ってしまい、自分の本当の姿を他人に見せてしまった。
鈴木君のコメントも発表されていた。本人ではなく、鈴木君の弁護士が代弁していた。
「自分はやっていません。その日は確かに店長に叱られて確かにイライラしていましたが、被害者の男とは会っていませんし、殴ってもいません。何かの間違いです。」
何かがおかしい。被害者の着ていた服には確かに鈴木君の指紋が検出されていた。証拠もそろっているにもかかわらず、白を切るつもりか。それにしてもなんだか不自然だ。
車で警察に向かう鈴木君の顔には生気がなく、目もうつろだった。そういえば、彼が大学を辞めたという話をしていた時に、西園寺さんが何かを言っていた。何を言っていたのだったか。よく覚えていない。まあ、私は彼を直接知らないし、関係ないか。
ニュースも終わり、気象情報が始まる。またもや天気は晴れ。しかし、最近の天気予報はあてにならない。とりあえず折り畳み傘を鞄に入れておいた。これなら急な雨にも安心だ。
昼ご飯を適当に食べ、大学に向かう準備をする。今日こそ普通で平穏な日が来ますように。
最初のコメントを投稿しよう!