衝撃的な出会い①

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「『同じ学部同士、仲良くしましょうね。』とか『朔夜と西園寺で名簿近いね、これは運命って感じするよね。』とかいろいろ言うことあるでしょう……。さらにこれは外しちゃダメね。『入学式の新入生代表に選ばれるなんてすごい。美人で頭もいいなんて西園寺さん、素晴らしいね、尊敬しちゃう。』ハートみたいな。」    私が思った通りの残念な性格であった。たいそうな自信家である。これは今までさぞやモテモテだったのだろう。自分が他人より上であるということを隠しもしない。ある意味、うらやましい限りである。    それにしても、話の後半は自意識過剰がなせる言葉と解釈できるが、前半の言葉はどう意味だろうか。 「こちらこそよろしくお願いします。」    とりあえず言葉を返したが、その後に続く言葉が見つからない。何度も繰り返すが、この美少女とは初対面のはずだ。相手は私の様子がおかしいのにやっと気づいたようだ。 「もしかして、あなたと私って会ったことなかったのかしら。」    いまさら何を言っているのだろう。会ったことないに決まっている。これに対しては沈黙を貫くことにした。 「ちょっとなんか言いなさいよ。私の独り言みたいになっているじゃない。」    独り言にしてください。美人で頭もいいようだがこんな残念な性格の変な人とはかかわりたくない。周囲の人間もそう思ったのか。私と西園寺という学生の周りには誰もいない。皆、すでに講堂を出て、ガイダンスが行われる教室に向かったようだ。    そういえば、これからガイダンスがあるのをすっかり忘れていた。もうじき始まってしまう。急がなくては。ガイダンスに遅れてしまってはいけない。    仕方ないので、この残念な美人さんは放っておいてガイダンスのある教室に向かうことにした。思ったら即行動せねばと思い、足を一歩踏み出そうとした途端、それはまたもや邪魔された。相手もガイダンスがあることに気付いたようだ。 「そろそろガイダンスの時間ね。一緒に行きましょう。朔夜さん。」  なんということか。最初に話しかけてきたときに話していたではないか。一緒の学科だと。それに入学式の時、私の後ろの席に座っていたではないか。嫌な予感がする。私は大学4年間を平穏に過ごせるのだろうか。 「はい。」  こうして私たちは仲良くガイダンスが行われる教室に向かうのだった。
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