序章 英雄のブルース

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エリゴール・ゼニスバーグはその実験や研究が我々の理解を超越していて全く理解されなかった。 ただ、深く追求する過程で浮かび上がったいくつかの小さな悪事、とりわけ政府高官相手の娼妓の斡旋はかなり手広く行われていた。 金魚鉢ジジイ何してんのお前。いや、実際は下請け企業の独占的な、いわば抜け駆けに近かった。これこそがエリゴール・ゼニスバーグの本懐だったのだろう。 悪意の伝播から始まる技術力の向上。Aを誤魔化す為のB、BからCを経てやがてZに。 自身が関知しない犯罪。 我々がひっかかったのがR辺りだった気はする。そしてそれによって泣く者が身内だった時、ひまわりが動いたのだ。 鎧袖一触の末に、水没した怪人はその命を落としたのだった。朝の光と共に。 その後、多くの関係者が司直の手に落ち、様々な悪事が白日の元に晒されるにいたり、 ゼニスバーグコーポレーションは滅んだのだった。実際には不渡りを出して倒産した。 問題は背後に立っていた経済協力連合だった。彼等とゼニスバーグは繋がっていた。何しろ連合の総帥だったのは間違いない。繋がってはいたが、そのあまりに強大なコングロマリットは、司直の手を逃れることになった。 それについてはしょうがなかった。
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