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「遂に[式]が完成した」
送られてきた時輪氏のメールには、確かにそう書いてあった。
その知らせに私が時輪氏のアパートを訪れたとき、中は散々な有様だった。
部屋のスペースの殆どを埋め尽くしていた書類の束、資料本などは全て盛大に散らかり、ノートパソコンは完全に破壊されていた。その状況は、まるで室内で竜巻でも発生したかのようであった。
部屋の窓は開け放たれていた。
元よりベランダなど無い、欄干があるだけの窓であるが、それは衝撃で吹き飛ばされたわけではなく、最初から開けられていたようだ。外から下を見ると、吹き飛ばされた書類の一部が落ちているのが見える。
そして、部屋の主である時輪氏の姿は、そこになかった。
彼は、メールの通り、[10秒後の近未来]に旅だったのだろうか……
「今から、俺は未来に逢いに行く」
その言葉の通りに……
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