[近未来]への旅立ち

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 結果だけで言えば、時輪氏は既に消息を絶っていた。  ただ、2階建て賃貸アパートはちょっとした騒ぎになっていた。  彼の部屋で、爆発音がしたというのだ。 「おい、勝手に入っちゃ困るよ!?」  警察がくる前に、私は「知り合いです」と管理人を押し切り、時輪氏の部屋へと上がり込む。  中は散々な有様だった。  部屋のスペースの殆どを埋め尽くしていた書類の束、資料本などは全て盛大に散らかり、ノートパソコンは完全に破壊されていた。その状況は、まるで室内で竜巻でも発生したかのようであった。  そして、部屋の窓は開け放たれていた。 元よりベランダなど無い、欄干があるだけの窓であるが、それは衝撃で吹き飛ばされたわけではなく、最初から開けられていたようだ。外から下を見ると、吹き飛ばされた書類の一部が落ちているのが見える。  そして、最初に書いた結論通り、時輪氏の姿はなかった。  爆発音が部屋から響いたのは、私へのメールが発信された直後であるらしい。
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