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西暦2080年現在、ある革命的なシステムが発表された。
それは、〈未来予知プログラム〉――
予知と云っても、遠い先の未来を予言するものではなく、ほんの少し、それこそ、最大でも10秒程度の予想するものであるが、その精度が100%に限りなく近いと云うことは画期的であった。
まずは自働車の無人運転装置に取り付けられ、事故防止に役立てられる予定だが、その後、天気の突発的な変化や、相場の急激な変動、最終的には広範囲な災害の予知にも期待されている。
もし、完全実用化が成されたときには、人類の文明はあらたなるステージに到達することだろう。
このプログラムは、ある企業と大学研究室の共同開発と発表されていた。
しかし、真相は違う。
その企業の研究室、その片隅で、ある男が一人で組み上げたものが目に留まり、採用したものであった。
その男こそ、時輪克――
大学時代、急激その才能を開花させ、数学界並びに物理学会の期待を浴びた若手研究者であった。
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