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筈だった……
そう、時輪氏は、訴訟を起こす気など無いらしい。
彼にしてみれば、「そんな暇はない」とのことだ。
「電気代と文房具さえあれば、俺の研究は進められる」
加えて、
「貯めた貯金と賞与、それに退職金で当座の生活は問題ない」
そう嘯くのは強がりだろうか……
しかし、私は次の言葉に強い興味を持ち事になった。
「俺の研究は、未完成だ」
そう、[未来予知プログラム]ですら、時輪氏にとっては研究途中でたまたま応用されただけの、中途半端な代物でしかないというのだ。
時輪にとっては、訴訟さえ、「研究の邪魔をする無駄な時間」なのだ。
そんな男だから、私の取材を受けてくれるはずがなかった。
そんな時間さえ、勿体ないのだから。
そんな彼が何故、私を部屋に上げたのか……
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