真夜中の決断

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 今日は久々の終日オフ日。私がしたことと言えば、溜まっていた家事をいかに安くこなすかと四苦八苦すること。食事が減ってからは体重が一気に落ちた。もう、食事しないことに慣れ始めてしまっている。 「お母さんの声が、聞きたい」  寝る前にこれまでのことを振り返ると、ポツリと声が零れた。枕元に置きっぱなしのスマホに目をやれば、母からのメッセージが届いているのがわかる。もはや読む気力すらないけれど。  必死に気力を振り絞り、スマホを手元に引き寄せた。メッセージを流し見てから、母に電話をかけてみる。1コールも待たないうちに「もしもし」と懐かしい母の声がした。 「お母さん」 「あんた、大丈夫? ご飯食べてる? 保険証は届いたの?」  実家で暮らしていた頃は気付かなかった、母が私を思う声。質問に答えるより先に、言葉に詰まった。熱い何かが喉元にこみ上げる。 「そっちに、帰りたいな」 「帰ってきなさいよ」 「引っ越せない、時間がない、交通費もない」 「給料、入ってないの?」 「貰ってるよ。ただ、予想以上に自腹が多かったってだけ」 「それで食べられてるの?」 「なんとか、ね。ただ声が聞きたかっただけだから、切るよ?」  これ以上話せばボロが出そうで、必死に呼び止める母の声を無視して通話を終了した。言えないよ、今の生活のことなんて。  この生活を選んだのは私。この会社を選んだのは私。同期はみんな、この環境に馴染んでる。私がおかしいだけなんだ。
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