真夜中の決断

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真夜中の決断

 新生活を始めて独立するはずだった。内定が決まって、就職して、お金を稼ぐはずだった。こんなはずじゃ、なかったんだ。  給与から社会保険料が引かれているが、保険証は未だに手元に来ない。嫌な予感がして仕事の合間にこっそりと役所で尋ねれば、ゴールデンウィークが明けた頃になっても手続きがされていなかった。  入社してすぐに行った健康診断の結果が届いた。食後すぐに健康診断を行ったのもあり、予想通りの高血糖だ。食後1時間で血糖値がすぐに下がる健常者がいるのなら、逆に見てみたい。  本来であれば病院に行かなければならないが、そんな時間も金もない。保険証が手元にない状態で「詳しく検査してください」などと言われても不可能だ。新卒にそんな金はない。  保険費用を引かれた上でさらに年金を払うとなると、かなりの出費になる。加えて借り上げ社宅の家賃や光熱費、管理費も払わなければならない。  4月に貰った給与は日割り計算できっちり半分払われた。そこから家賃や社会保険費が引かれ、生活費や諸費用として使える額は3万円。その殆どは交通費やコインランドリー代等に消え、5月の給料日までは昼1食で乗り切っていた。
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