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「すみません…」
「責めているわけじゃないんだよ…?
そうだ、一緒にお風呂入ろうか。
僕だけ脱がされているんじゃ、ちょっと不格好だしねえ。」
「ぇ。
…それは…、ちょっとどうなんでしょう…?」
「別に、誰かに見られている訳じゃあないんだし。
それに銭湯とかなら皆一緒に入るでしょ?」
「まあ…、それはそうですけれど。」
俺の答えを聞く前に、萼さんの手が服を脱がせにかかる。
それが思いがけず手早くて、少し戸惑った。
「君の服は相変わらずきっちりで装備が多いねえ。」
「…そうび…。」
カフスやカラーバーの事だろうか。
確かにその辺りは、スーツを着るならば揃えておかなくてはいけない気がして、必ず身に着ける様にはしているが。
「ほそっ!
相変わらず細い…というかこれは細いを通り越して薄い、かなあ…
何食べてこんなに痩せるんだろう…」
いつの間にか下着と靴下だけ残し、器用に脱がされていた。
「何を食べて、って…毎日、同じ食事をしているじゃないですか。」
「あれ…そういえばそうだね。」
なんでだろう、と彼が首を傾げてからふふ、と笑った。
それだけの事で何だか心が落ち着く。
落ち着いてみて、改めて自分が、相当我を忘れていたという事にも気付かされた。
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