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家に着くと取る物も取り敢えず、彼を脱衣所に連れて行き、服を剥いで浴室に放り込む。
猫足のバスタブに湯を張りながら温かいシャワーを出してそっと足元から湯をかけた。
「ツユリ君…服、濡れるよ…?」
「え?
あー……洗濯してしまいますから良いですよ。
お湯がたまったら、一度きちんと浸かって温まってくださいね。」
彼の事は脱がせたが、自分自身は靴下すら脱いでいなかった事に気が付く。
徐々に服が水分で肌に張り付いて些か動きにくい。
ボディーソープをスポンジに出し、よく泡立ててから萼さんを洗いはじめる。
「ところで…なんでお風呂…?」
特に抵抗も無く、素直に洗われていた彼が不思議そうに問う。
そう聞かれて俺自身も、何故咄嗟に浴室に連れて来たのだろうかと自分の行動に首を傾げた。
「何故…でしょう。
寒そうだったから…でしょうか……」
「寒そう…僕が…?」
「…、判りません、取り敢えず温かくしないといけない気がしました。」
「ふふ…あはは…
僕より君の方が真っ青な顔をしているのに…」
念入りに彼の全身をスポンジで洗っていると、本当におかしそうに笑われてしまった。
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