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自分が今どんな顔をしているか等、鏡を見なければ判らない。
そうでなくても元から顔色はあまり良くない方なので、見ても気付かないかもしれないが。
「確かに、ああいう事を言われて驚きはしたけどねえ。
ツユリ君が思っているより、僕は気にしてはいないから大丈夫だよ?」
「指が……」
「うん…?」
「…指先が、真っ白になっていたので…
何かしら、我慢しているのだろうと…おもいました。」
萼さんの手を取ると、今は普段通り血色の良い、ピンク色の指先に戻っていた。
俺は、彼のあの時の様子に本当に驚いてしまって、怒るなり、悲しむなり、落ち込むなり…何かしらの感情が爆発しかけているのではないかと慌てたのだった。
「確かに…ちょっと位は怒った方が良いのかなあと思っていたけれど。
君の顔を見たらどうでもよくなっちゃったよ。」
「俺の顔を…?」
「そう。
君の顔をね。
自分では判らなかったかな…?
見慣れないと判らないかもしれないけどねえ、今にも泣きそうな、かなしそうな顔をしていたよ。」
「そう…、ですか。……判りませんでした。」
「ふふ…人の事はよく見ているのに、自分の事は相変わらずなんだねえ。」
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