#006 Yellow Carnation

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萼さんに押し切られ、結局二人で入浴する事になってしまった。 一人が体を伸ばして入浴するには十分なサイズの浴槽だが、二人で入るとなるとギチギチで、自然と寝ている時の様に、彼が後ろから俺を抱き抱えるスタイルになる。 大人の男二人で一体何をやっているのだろうか… 奇妙だ。 「はあ。ぬくーい。 やっぱりお風呂は良いねえ。」 「気が落ち着かないのですが……」 「ははは、ベッドと大体同じでしょう~。」 「寝る時は、何かしら着ていますから…。 萼さんは別として。 萼さんは、べつとして。」 「ハハ、言い直された。 夏はついね、脱いでしまうからね…」 「下着位は、脱がずに穿いていてほしいんですが…」 「そうは言ってもねえ…寝る時には穿いているんだけどなあ。 暑いからかなあ、朝になると脱衣してるよね、勝手に。」 半年以上生活を共にし、気が付いた事がある。 萼さんは夏場になると、寝ている間、いつの間にか全裸になっている。 暑いのなら、そもそも俺を抱き枕にして寝るのをやめればいいと思うのだが…不思議と一緒にベッドに入る事は習慣づいてしまっていた。 「でも、こうして一緒にお風呂に入るのは初めてだねえ。」 「そうですね…。」
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