#006 Yellow Carnation

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「ツユリ君はさ、大丈夫かい?」 「…何の事でしょう…?」 「んー?草階くんのこと。 かなしそうにしていたから。」 改めて訊ねられ、困ってしまった。 奴の事は元から好きでもなんでもなかった。 ただの幼馴染、中々切り離せなかっただけの腐れ縁。 それ以上でもそれ以下でもなく… いや、今は確実にそれ以下なのだが。 「……あれの事は… 全然、好きではなかったんですよ…?」 「うん。」 「それに……早く、面倒な縁を切ってしまいたかった、とも…。」 「うん…、そうだろうねえ。」 「それでも……」 「うん。」 「それでも……、萼さんに… あんな事を言うような奴だとは思っていなかった、ですし…… どうでもいい、筈、でしたけど…… でも……無視を…するつもりも…なかったのに…… こんな、どうして、こんな風に、なってしまったんだろうか、と……。」 「……よしよし…。」 萼さんが、俺の腰に回していた腕に少し力を入れる。 まるで後ろから抱きすくめられているようだ。 眼鏡が無いので視界がふやけて良く見えないが、湯の水面に、ぽちゃり、ぽちゃりと断続的に小さな波紋がいくつも出来た。
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