#007 Pink Verbena

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草階(くさはし)事件(?)より、ひと月程が経った。 奴の謹慎期間は一週間だったのだが、その期間中に退職届が郵送されてきた。 しかし(はなぶさ)さんは未だ悩んでいる様子で、それは彼のデスクの引き出しに預かられており、現在休職扱いになっている。 これからどうなるのかは判らないが、正直な所、奴の居ないアパレル部門は以前より全体の仕事の進みも良く、大変平和である。 だからこそ萼さんも、処分をどのようにするのか迷ってしまうのだろう。 そういえば、あの一件で萼さんを心配したサキさんが、よく家に訪ねて来る様になり、最近ではよく泊まっていく。 いつかの為にサキさんの部屋を残しておかなくてはと思っていたが、そのいつかは存外早く訪れるかもしれないなと思う。 「ツユリさん、何を作っているんですか?」 「今日は、サツマイモの冷製ポタージュですよ。」 「美味しそう~。 あれですか?ヴィシソワーズのような?」 「です。 あれを簡易的に作れないかと考えていたんですが…ジャガイモを沢山茹でるのって結構時間がかかってしまうので、どうしたものかなと。 そうしたら調度スーパーに蒸かしただけのサツマイモが売っていて、試しに作ってみたら思いの外美味しかったんですよ。 味は…ヴィシソワーズとコーンポタージュの中間みたいな感じでしょうか。」 「わぁ…楽しみ!」 今日もまた、サキさんが遊びに来ていた。 一緒に昼食の支度をしてくれている。 萼さんはというと、腰を痛めて部屋で休んでいる。 昨日の夕方、職場で書類の入った段ボールを何段か重ねて持ち上げた際にやってしまい、現在動けない状態だ。
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