二、魔女退治

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 幼い兄妹の去ったあと、魔女は庭先で泣いていました。白いきれいな鳥が歌いながら、魔女の気分と対をなしているかのように飛びまわっていました。 「あんなにちいさくても、やっぱり人間には変わりないのね……」  やがて、魔女の目の前に白い鳥が降りたって、すぐにまた、ばさっという音をたてて飛んでいきました。その影を追うように魔女が顔をあげると、 「あなたたち……」  さきほどの幼い兄妹、ヘンゼルとグレーテルが立っていました。  魔女はよろこんで、ふたりをお菓子の小屋のなかへ招待して、お菓子をふるまいました。  ヘンゼルとグレーテルは、魔女に言い訳をしました。 「ごめんなさい、さっきはびっくりしたものだから」  きれいな魔女は笑ってゆるし、 「いいのよ。こうして戻ってきてくれてうれしいわ」 「お姉さんは、悪い人じゃないって思ったから」  上目(うわめ)づかいの幼子たちに、気分もいっそう楽しくなりました。 「ねえお姉さん、どうしたらそんなに、きれいになれるの?」 「まあ、おじょうずね」 「ねえお姉さん、私もきれいになれるかしら」 「ええ、きっとなれるわ」 「ねえお姉さん、それなら僕も、ハンサムになれるかな」 「ええ、もちろんよ」 「もしそうなったら、僕と結婚してくれる?」 「あらまあ、そんな」  三人は楽しい午後を過ごしました。  そして、夕方になり、 「僕たち、泊まっていってもいいかなあ」 「おひさまが沈んじゃって、お家に帰れないわ」  魔女はすこし困ってしまいましたが、それでもこころよくこれを受けいれました。  グレーテルはひとつ、魔女に約束を取りつけました。 「お姉さん、明日は私たちに、お菓子作りを教えてくださる?」 「いいことよ。けれど、また遅くならないうちにお帰んなさいね」
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