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翌朝、勇者たちの策略にはまった魔女は、彼らの白い頬に接吻をして目を覚まさせました。
「朝よ、かわいい妖精さんたち。ご飯を食べて、さっそくお菓子を作りましょう」
魔女はふたりのために、パンとミルクをふるまいました。
「今日はうんとはたらいてもらうからね、たくさんお食べなさい」
ヘンゼルは寝ぼけて、
「うん、なんたって僕たちは、英雄になるんだからな」
と言いましたが、魔女にはその意味がわからないので、口もとをおさえて笑うだけでした。
魔女とふたりの子供たちは、仲よくおしゃべりをしながら生地をこねました。こねあがると、魔女は魔法の粉をふりかけて生地を発酵させました。
「わあ、すごい。ふくらんだね」
子供たちの興奮に、魔女もうれしくて笑ってしまいます。
「さあさ、お次はかまどで焼くのですよ」
「わあい」
魔女が魔法で火を起こすと、子供たちはまたよろこびます。
しばらくして、魔女は言いました。
「かわいいヘンゼルとグレーテル、火がよくまわっているか、見てきてちょうだい」
これにこたえて、グレーテルは言いました。
「どういうふうにすればいいかしら……、私たち、はじめてだから」
「それは、そうねえ」
するとヘンゼルが、
「先にお姉さんが入って、どうするのか見せてくれればいいんだ」
と言いました。
「それじゃ、そうしましょう」
魔女はこころよく、この提案を受けいれました。
そして、かまどへからだを入れるやいなや ――
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