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二、魔女退治
ヘンゼルとグレーテルは、しかしやっぱり子供でした。魔女退治を思いついたはいいものの、戦略を練ったり、そもそもどうして魔女のお城までたどりついたものか、よい考えが浮かびません。とうとうふたりの兄妹は、お腹をすかせて動けなくなってしまいました。
「兄さん、私たち、もうだめね」
「あきらめるな、グレーテル」
ふたりのからだを濃い霧がおおっていきます。
「こんなことなら、お母さまの毒にかかって死ぬべきだったわ」
「そんなこと、言うもんじゃないよ」
ふたりのまぶたを闇がおおい、地の底へ意識を連れさろうとします。
「ああ、あわれみを……」
運命は、幼いふたりを見放しはしませんでした。
というのも、やがて周囲の霧が晴れ、ふたりの頭上を雪のように白いきれいな鳥がとてもいい声で歌いながら飛んでいくと、その先に、ふしぎな湖が姿をあらわしたのです。
「兄さん、あれ」
「ああ、見えるよグレーテル」
ふたりの兄妹は、夢のような光景を目にしました。―― 湖の透きとおった水面からきこりの斧を手にした美しい女神さまがあらわれ、雲をさいて、はるかに高い青いみ空へとのぼっていく ――、そんな光景でした。
「ねえ兄さん、私たち……」
「ああグレーテル、ひょっとして……」
―― いけるかもしれない。
決意を新たにしたちいさな勇者たちは、からだじゅうに生命の力をみなぎらせ、すでに立ちあがっていたのでした。
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