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この森は、もう…………
『美しい』だけの場所ではない――――――
そう、気付いた瞬間…………
穏やかな白い空は霧のように、消え――――
赤黒い闇に飲まれてしまう。
禍々しい闇を支配し、
眼前に広がる大輪の満月は皎皎と照らしながら、彼を重圧した。
一変した世界に驚き、見回すと………
辺りを、いつの間にやら血のような鮮やかな赤が取り囲んでいる。
一面に咲き誇る彼岸花――――――
小夜子の愛した、彩――――――
二人で、共に愛でた、この彩を……………
この時ほど、おぞましく思った瞬間はない。
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