4. 赤い果実の目覚め

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この森は、もう………… 『美しい』だけの場所ではない―――――― そう、気付いた瞬間………… 穏やかな白い空は霧のように、消え―――― 赤黒い闇に飲まれてしまう。 禍々しい闇を支配し、 眼前に広がる大輪の満月は皎皎(こうこう)と照らしながら、彼を重圧した。 一変した世界に驚き、見回すと……… 辺りを、いつの間にやら血のような鮮やかな赤が取り囲んでいる。 一面に咲き誇る彼岸花―――――― 小夜子の愛した、(いろ)―――――― 二人で、共に()でた、この(いろ)を…………… この時ほど、おぞましく思った瞬間はない。
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