0人が本棚に入れています
本棚に追加
「へぇ、そうなのね」
「さらに、イタリアでは乾杯を「チンチン」と言います!」
「うんうん」
「つまり、ポコ・チンチンは少し乾杯をしようという意味になるんです!」
「ふむふむ。それで?」
「……」
無言の一秒が、永遠に感じた。
「ポコ・チンチン!」
「ゾウリムシ以下ね」
途中でどうしていいかわからなくなってしまい、ただ叫ぶという愚行を敢行した。死にたい。
「……そもそも、ポ〇チンについて、伶華さんはどのようなお考えをお持ちなのですか?」
僕は涙目になりながら、伶華さんに聞いてみた。
伶華さんは真剣な表情のまま、顎に手を添えて考えている。
「そうね……響きとしては、やはり幼児言葉でチ〇ポコよりも、ポ〇チンの方が言いやすかっただけじゃないかしら?」
「……」
え。それでいいの?
つまり、大喜利ではなかった?
ただ単にちょっとした疑問だったということか?
僕が茫然としていると、伶華さんは大きく伸びをした。その様が絵になること。
「さて仕事も終わったことだし、帰りにいつもの焼き鳥買って帰りましょ。肉が食べたいわ」
「……」
ちなみに、この焼き鳥屋が並ぶ商店街には、この学校の女生徒がよく立ち寄るおいしいクレープ屋さんがある。うちの学校では基本的に買い食いなどはNGだが、バレなければ良しという風潮があった。
伶華さんは、そのクレープ屋に行ったことがない。別に、行きたくてもいけないわけではない。そんな乙女心などこの人は無い。単純に、興味が無いようなのだ。
春日園伶華さんは、そういう人間だ。
最初のコメントを投稿しよう!