議題・その1

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「へぇ、そうなのね」 「さらに、イタリアでは乾杯を「チンチン」と言います!」 「うんうん」 「つまり、ポコ・チンチンは少し乾杯をしようという意味になるんです!」 「ふむふむ。それで?」 「……」  無言の一秒が、永遠に感じた。 「ポコ・チンチン!」 「ゾウリムシ以下ね」  途中でどうしていいかわからなくなってしまい、ただ叫ぶという愚行を敢行した。死にたい。 「……そもそも、ポ〇チンについて、伶華さんはどのようなお考えをお持ちなのですか?」  僕は涙目になりながら、伶華さんに聞いてみた。  伶華さんは真剣な表情のまま、顎に手を添えて考えている。 「そうね……響きとしては、やはり幼児言葉でチ〇ポコよりも、ポ〇チンの方が言いやすかっただけじゃないかしら?」 「……」  え。それでいいの?  つまり、大喜利ではなかった?  ただ単にちょっとした疑問だったということか?  僕が茫然としていると、伶華さんは大きく伸びをした。その様が絵になること。 「さて仕事も終わったことだし、帰りにいつもの焼き鳥買って帰りましょ。肉が食べたいわ」 「……」  ちなみに、この焼き鳥屋が並ぶ商店街には、この学校の女生徒がよく立ち寄るおいしいクレープ屋さんがある。うちの学校では基本的に買い食いなどはNGだが、バレなければ良しという風潮があった。  伶華さんは、そのクレープ屋に行ったことがない。別に、行きたくてもいけないわけではない。そんな乙女心などこの人は無い。単純に、興味が無いようなのだ。  春日園伶華さんは、そういう人間だ。
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