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「それがケータイに繋がんないんだよ!!どうしよう」
俺とトップさんがあたふたとしているとそこに中肉中背の縁なし眼鏡男が声をかけてきた。
「おーいトップ、あ、結砕くんも着いたんだ」
「あ、こんにちはッス。FLMさん」
彼も酔虎殿のメンバー、名は縁なし眼鏡という、眼鏡はグラスだったと思うが流石の貫録である。
「こっちこっち」
彼に誘われるままについていくと今日の大会の審査員用の控室についた。
そのまま促されるままに室内を覗き込むと俺と同じパーカーを纏った短髪の男が部屋の中央に出入り口に背を向ける様に座っていた。
「……侠胆さん。何をやっているんですか」
思わず声を掛けると彼は深く息を吐いた。
「……俺は半端な言葉は吐かない。精神集中、ライムの芸術、低級なMCの儚い夢を完全粉砕」
これから果し合いに向かう剣豪のような鬼気を放つ我らが代表に俺は告げた。
「部屋間違ってます。ここ審査員の控室です」
「え、ホント?」
侠胆さんは気恥ずかしげに席を立った。がっしりとした体格の彼が立ち上がるとその長身もあわさって恐竜のような迫力があった。そのまま足早に廊下に出ると控室に戻った。そこは同じ大会の出場者とその仲間達でざわついていた。
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