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それ以来、視界の端に捕えるたびに心臓が高鳴り、掌に汗が滲んだ。顔が熱くなり呼吸が乱れる。
恐怖で。
男子の夏服、その上半身は半袖のYシャツであることが多く彼の学校もそうだった。そして白いYシャツは時折下着が透けて見えるのだ。
そして彼も上半身の下着が透けているのだ。
きっちりと逞しい胸板に巻いたブラジャー、本日は淡いモスグリーン。
そう、彼はブラ男子だったのだ。
そりゃ気にもなるわ。
「マジで違うから」
「お、おう」
どこか憐れみの籠った目を向ける李緒にいっそ彼の事を明かしてみようとも思ったが止めた。
現代はジェンダーフリーの時代である。おままごとよりも一人で時代小説やゲームを嗜む女子が居てもいい、男の子がブラジャーをしてもいい。自由とはそう言う物だ。
ただ、やはり彼が気になる。具体的に言うと彼の学校生活とか。
あんな透けて見えるのだ、同世代の級友たちに囃し立てられて虐められたりしないのだろうか。男子校は共学に比べてそう言った野卑な性質は少ないと聞いた事があるが、それにしたって思春期の少年たちのコミュニティーにそれほどの懐の深さがあるとは思えない。
少なくとも私は気持ち悪い。いや趣味嗜好は自由だと思うけど、それはそれを取り巻く周囲がどんな感想を抱くかも自由である訳で……。
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