トパーズ

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 ちなみに、わが校に園芸部はない。  わざわざ先生に掛け合って、学校の花壇の世話をさせてもらっているのだとか。物好きにも程がある。  私は休み時間になると、三階の教室の窓から校庭を見下ろす。  そこに幸生を見つけると、窓の枠に頬杖をついて、彼を観察する。  幸生が園芸オタクなら、私は幸生オタクかも知れない。  高校に入学して、はじめて幸生を教室の中で見かけた時、なんて綺麗な男の子なんだろうと思った。  男の子。  この言葉は幸生には似合わないかも知れないのだけれど。  肌は日に焼けていて、なめらかなミルクチョコレートのようで、髪は日に透けると、はちみつみたいに輝いていた。  甘くて美味しそう。  ぼんやりとそんなふうに思って、自分の考えに思わず赤面した。  ひょろっと背が高くて、そして引き締まっていて、筋張っている。幸生はそんな感じ。  男の子、というぷるぷるとした感じがしないのだ。  出会って以来、私の目はもうずっと彼を追っている。  そうして、観察すれば観察するほど、彼は変な人だった。  だいたい、高校生男子で、わざわざ自ら進んで花壇の世話をするやつなんて、いるだろうか?     
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