トパーズ

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 そして、友達ともつるまず、休み時間になると花壇に直行するやつなんて、いるだろうか?  絶滅危惧種っていうのは、もともとたくさんいたのが少なくなった種ってことだから、幸生の場合はなんだろう。希少種? もしくは高校生男子の突然変異体かも知れない。  頭もそこそこ良かったし、運動もできたし、いじめられたりするようなことはなかったけれど、確かに友達は少ない。  まあそれは、私にとっては好都合なのだ。  だって、誰にも邪魔されずに幸生ウォッチングができる。  毎日毎日、雨の日以外は、窓の桟にもたれかかって、幸生を見つめる。  なのに、だ。  世の中にはどうして夏休みなんてものがあるのだろうか。  人生で初めて、私はそう思った。  こんなに長い間、幸生を見ることが出来ないだなんて。  私は冷たいフローリングに寝っ転がったり、ソーダ味のアイスバーを舐めたりしながら、幸生のことを考える。  あのチョコレート色の大きな筋張った手で、今日もお花の世話をしているのだろうか。光にとけてしまいそうな、サラサラの髪は、汗に湿っているだろうか? 帽子をちゃんとかぶっているだろうか。  ああ、帽子をかぶるなら麦わら帽子がいいわ。     
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