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「わ、わ、わぁ~~!!す、すごい!わかった!」
「当たり前だろ?」
「うん!上条すごい!ありがとう!」
上条、数学はあんなに教えるの下手なのに古典はちゃんと説明出来るんだな。
擬声語今回はなかったし、なんとなく教え方も丁寧だった気がするし。
数学が特別下手なのか、古典が特別上手いのか、どっちなんだろう…。
ってか、俺なんで出会ってまもない上条に、すでに2科目も教わっているんだ?
上条に、借りがありすぎじゃない!?
せっかくこの前昼作ってあげたのに、またなんかお礼しなきゃいけなくなったじゃん~~!!
「上条……あの、」
「あ?なんだ」
「えと、その……こ、今回のお礼は……何が、良い……ですか」
俺に用意出来ないものとか言われたらどうしよう……。
上条、意味わかんないくらいドSの可能性あるし、聞くんじゃなかったかなぁ
「……別に要らん」
「えっ……でもそういうわけには…!お、お前なんかに借り作ったままなの嫌なの!」
「はぁ……わかった。お前って、強情だな」
……ん?これは俺、呆れられてるの?
褒められては……いないはず。うん。
「別に何でもいい」
「そういう回答が1番困るって知らないのかお前は!」
上条見た目だけだったらモテると思うけど、中身知ったら絶ッ対モテないって!
最低男だぞこいつ!
「……はぁ。じゃあこの前と同じでいい。なんか作ってくれるだけでいい」
「えっ、俺の料理なんかでいいの?」
「……別に、」
上条が、何か言いかけた時。
教室のドアが勢いよく開けられて、その声を遮った。
「上条会長、」
上条と違って制服を少しも着崩さず、ボタンも全部閉めた人がそこには立っていて、しかも顔がこわい。
怒ってる……って感じ。
「……何油売ってるんですか? 仕事、溜まっているでしょう」
「はぁ……わかってる。もう行くところだ」
急にいつも通りの不機嫌になった上条が鞄を持って立ち上がり、一瞬こっちを見てから教室を出ていった。
一瞬こっちを見たとき、俺と視線は合わなかった。
「あ、上条……」
「ごめんなさいね。上条会長は仕事があるんですよ。失礼します」
さっきまでは怖い顔をしていたのに、上条を呼びに来たその人は急に笑顔になってドアを閉めた。
しかもなんかその笑顔、こわいし。
黒い光を背負ってそうな笑顔?って感じ。
「教科書……置いてっちゃった…」
俺の机の上に開かれたままの上条の教科書。
明日小テストなのに。
……ああ、でも。上条最後にこっち見てたのって、もしかして教科書のこと、だったのかな。
じゃあ、分かってて上条置いてった…?
確かに、今この教科書あったら俺は勉強しやすいけど…。
上条、小テスト自信あるって言ってたし、要らないのかな、教科書。
まあ、わかってて置いてったなら…………
「借りちゃうか」
小テスト、良い点取りたいし。
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