11月 教科書忘れた

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次の日。 古典の小テスト。 まあ結果はまあまあ……うん、割と出来たと思う。 多分次の授業で返ってくると思うし、どうかいい点取れてますように。 「みなと、良い顔してるね」 「みーくん!あのねあのね!すごく手応えあったの!」 「えらいね、みなと。昨日、たくさん勉強してたもんね」 「うん!」 「上条の教科書で」 みーくんの何気ない言葉が胸に突き刺さる。確かに事実なんだけど、それを言われるとなんだか素直に喜べなくなる。 上条のおかげって……あああ、そんなの認めたくない! うぅ、あんなやつに世話になりたくないのに~!! 「……最近は毎日いたのに、今日は休みなんだね、上条」 「小テスト自信あるとか豪語してたのになぁ」 「どうしたんだろうね」 「ね~まあ、興味無いけど」 ってか……せっかくお昼、作ってきたのに…。 なんで今日来ないんだよ、上条のやつ。 最近は毎日来てたのに、今日に限って休むか? 俺が今日お昼作ってくるってわかってただろ? ……まさか、わかってて休んだとか、ないよな… 「……橋本くん、ちょっといいかな」 「…ぇっ」 上条のことを考えていたところ、突然話しかけてきたのは、今まで話したこともない……正直ちょっと自信はないけど、多分クラスメイト。 「これ、さっき先生が上条くんにも届けるようにって言ってたんだけど。渡して、貰えるかな?」 「…………ぇ、」 なんで俺なの?先生に言われたのは俺じゃないのに……じ、自分で渡せばいいじゃん…とか、言いたい、けど…… 「橋本くん、上条くんと仲良いみたいだし、お願い…出来るかな?」 もうそのプリントを俺の机の上に置いて、一歩下がったクラスメイトは、もう俺に押し付ける気しかないらしい。 ここから強く断る勇気もないし、話したくもないし、諦めよ…。 俺が小さく頷いたら、クラスメイトは満足したみたいに頷いてどこかに行った。 「はぁ……」 「よかったの?みなと」 「……断る方が、難しかった」 ってか何? 上条もっと仲良い人クラスにいないわけ? 友達とかいないわけ? なんで俺が……見知らぬクラスメイトと話さなきゃいけないんだよ… 全部、上条のせいだ。
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