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こわくて動けなくて、ああもうすぐで肩に手が届きそう、という時に。
急に左肩を後ろに思いっきり引かれて、その反動で後ろによろけたことで、目の前のやつに触れられることはなかった。それどころか後ろにいる誰かにもたれかかる体勢になった。
「うっ…わ!?」
な、なに…!?
「…………会長。お早いお帰りで」
一旦顔を顰めたと思ったら、またすぐに笑顔に戻った。あのこわい笑顔に。
……そして、いつの間にか俺の後ろに立っていた上条。
ああ……なんでだろう。
安心、したのかな……。
ずっとよく知らないやつ、しかも笑顔こわいやつと話してて、緊張もしたし、不安だったし怖かったし。
知らない奴に触られるの、本当に苦手だし。
それを助けてくれたから、ちょっとでも知ってる上条が来たから、俺……安心したのかな。
なんか、涙出てきた。
「……っ、な、何泣いてんだ、お前」
後ろから顔を覗き込んできた上条が、俺の顔を見るなりギョッとしたように言う。
「は、はぁ!?な、泣いてないし!こっ、子供じゃないんだから!」
「………………紫鶴になにか、されたのか?」
急に、なんか少しだけ優しい声になるから…悔しいけど、またちょっとだけ安心した。
「まーた俺のこと、悪者にするんですね会長」
「自分の行動を省みてから言え」
「俺はいつも笑顔でにこやかに接してますけどねぇ」
いや……その笑顔がこわいんだって……えぇ?自覚ないのか?あんなにこわいなら、笑わない方が良いと思うけど…。
「で、お前は俺に用があって来たんだろ」
急に上条が目を合わせてくる。
俺まだ何も言ってないのに、なんでそんな自信満々に聞いてくるんだよ……
「なんでわかんの……」
「…………相澤に聞いた」
「えっ、みーくん!?会ったの?」
「ああ……教室まで行ってきたからな」
え、教室……上条行って来たの? なんで?
しかもみーくんに会って、話したの?なんでみーくんと話したんだろう…。別にみーくんと仲良いわけでもないのに。
ちょっと会ったからって話す程度の仲良しじゃないのに。
今まで話してるところ、見たこと無かったのに。
みーくん……上条なんかと仲いいの?
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