11月 教科書忘れた

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こわくて動けなくて、ああもうすぐで肩に手が届きそう、という時に。 急に左肩を後ろに思いっきり引かれて、その反動で後ろによろけたことで、目の前のやつに触れられることはなかった。それどころか後ろにいる誰かにもたれかかる体勢になった。 「うっ…わ!?」 な、なに…!? 「…………会長。お早いお帰りで」 一旦顔を顰めたと思ったら、またすぐに笑顔に戻った。あのこわい笑顔に。 ……そして、いつの間にか俺の後ろに立っていた上条。 ああ……なんでだろう。 安心、したのかな……。 ずっとよく知らないやつ、しかも笑顔こわいやつと話してて、緊張もしたし、不安だったし怖かったし。 知らない奴に触られるの、本当に苦手だし。 それを助けてくれたから、ちょっとでも知ってる上条が来たから、俺……安心したのかな。 なんか、涙出てきた。 「……っ、な、何泣いてんだ、お前」 後ろから顔を覗き込んできた上条が、俺の顔を見るなりギョッとしたように言う。 「は、はぁ!?な、泣いてないし!こっ、子供じゃないんだから!」 「………………紫鶴になにか、されたのか?」 急に、なんか少しだけ優しい声になるから…悔しいけど、またちょっとだけ安心した。 「まーた俺のこと、悪者にするんですね会長」 「自分の行動を省みてから言え」 「俺はいつも笑顔でにこやかに接してますけどねぇ」 いや……その笑顔がこわいんだって……えぇ?自覚ないのか?あんなにこわいなら、笑わない方が良いと思うけど…。 「で、お前は俺に用があって来たんだろ」 急に上条が目を合わせてくる。 俺まだ何も言ってないのに、なんでそんな自信満々に聞いてくるんだよ…… 「なんでわかんの……」 「…………相澤に聞いた」 「えっ、みーくん!?会ったの?」 「ああ……教室まで行ってきたからな」 え、教室……上条行って来たの? なんで? しかもみーくんに会って、話したの?なんでみーくんと話したんだろう…。別にみーくんと仲良いわけでもないのに。 ちょっと会ったからって話す程度の仲良しじゃないのに。 今まで話してるところ、見たこと無かったのに。 みーくん……上条なんかと仲いいの?
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