11月 教科書忘れた

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「おい、おい……みなと?」 「……あっ、な、なに?」 みーくんと上条の事考えてたら、上条に声掛けられてたのに気がつかなかった。 慌てて顔を上げて上条を見ると、いつも通りの顔でこっちを見ていた。 「俺に用があるんだろ?」 「あ、うん。……古典の小テスト……受けてないからって、プリント……」 「これ、どうすればいいんだ。いつ提出するんだ」 「え……知らない……けど」 あのクラスメイト、何も言ってなかったし……。 上条に渡しといて、しか聞いてないな。 「なんで知らないんだ」 「だって……俺クラスメイトに押し付けられただけだし……」 「……クラスメイト? 誰だ」 「え、えー……名前、わかんない……」 俺、あんまりクラスメイトの名前とかわかんないんだよな…… 関わりがないし、覚えるタイミングがない。それに覚える気がないし、顔もよく分からない。 なんか上条にため息吐かれた。 な、なに!?失礼なんだけど! 「で、それは?」 「え、あ、あぅ…………き、昨日、約束したし…」 な、なんでわざわざ聞くかな!? 昨日上条が言ったんじゃん!またご飯作るので良いって!し、しかも本当は上条にあげちゃダメってルールあるくせに! あっ、この怖い笑顔の人の前でその話したら駄目なんじゃ!? ぼ、没収される!? 「や、やっぱりなんでもない!」 「……は?」 「これ、俺のだから!俺の昼ごはんだから!」 「は?どう見たって2つあるだろうが」 「あ、ああ……お、俺が2つ食べるかもしれないだろ!」 ご、誤魔化しきれない…… なんで俺、上条の分と合わせて自分の分も入れて持ってきちゃったんだろう…。 みーくんにこれを手渡されたから、そのまま持ってきちゃった……うぅ…… 「はぁ……ほら、来い」 急に俺の腕を掴んで、そのまま上条が歩き出す。 行き先も告げられぬまま、俺は上条に引っ張られるがままに歩き出すことになった。 「ああ、ちょっと、会長!仕事はどうするんですか!」 「また戻ってきたら続ける」 「はぁ……全く……」 さっきの人がため息を吐いたのが聞こえた。 上条、そんなに仕事溜め込んでんだ? なんか意外かも。
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