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「おい、おい……みなと?」
「……あっ、な、なに?」
みーくんと上条の事考えてたら、上条に声掛けられてたのに気がつかなかった。
慌てて顔を上げて上条を見ると、いつも通りの顔でこっちを見ていた。
「俺に用があるんだろ?」
「あ、うん。……古典の小テスト……受けてないからって、プリント……」
「これ、どうすればいいんだ。いつ提出するんだ」
「え……知らない……けど」
あのクラスメイト、何も言ってなかったし……。
上条に渡しといて、しか聞いてないな。
「なんで知らないんだ」
「だって……俺クラスメイトに押し付けられただけだし……」
「……クラスメイト? 誰だ」
「え、えー……名前、わかんない……」
俺、あんまりクラスメイトの名前とかわかんないんだよな……
関わりがないし、覚えるタイミングがない。それに覚える気がないし、顔もよく分からない。
なんか上条にため息吐かれた。
な、なに!?失礼なんだけど!
「で、それは?」
「え、あ、あぅ…………き、昨日、約束したし…」
な、なんでわざわざ聞くかな!?
昨日上条が言ったんじゃん!またご飯作るので良いって!し、しかも本当は上条にあげちゃダメってルールあるくせに!
あっ、この怖い笑顔の人の前でその話したら駄目なんじゃ!?
ぼ、没収される!?
「や、やっぱりなんでもない!」
「……は?」
「これ、俺のだから!俺の昼ごはんだから!」
「は?どう見たって2つあるだろうが」
「あ、ああ……お、俺が2つ食べるかもしれないだろ!」
ご、誤魔化しきれない……
なんで俺、上条の分と合わせて自分の分も入れて持ってきちゃったんだろう…。
みーくんにこれを手渡されたから、そのまま持ってきちゃった……うぅ……
「はぁ……ほら、来い」
急に俺の腕を掴んで、そのまま上条が歩き出す。
行き先も告げられぬまま、俺は上条に引っ張られるがままに歩き出すことになった。
「ああ、ちょっと、会長!仕事はどうするんですか!」
「また戻ってきたら続ける」
「はぁ……全く……」
さっきの人がため息を吐いたのが聞こえた。
上条、そんなに仕事溜め込んでんだ?
なんか意外かも。
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