11月 教科書忘れた

24/35
前へ
/64ページ
次へ
大した会話は生まれない。 だって俺ら、親しくないし。 普段みーくん以外と話さないし、話したくもないから他の人と会話するの苦手……。 まず何を話したらいいのか、分からない。 でもずっと無言は気まずいし、上条から声かけてくれないかなぁ…なんて。 ちらりと上条の方を見たら目が合った。 「……やはり、美味いな」 「あ、あ……当たり前だし。みーくんが美味しいって言ってくれるんだから……」 ……はぁ……ありがとうって伝えられたら良かったのに。 上条のこと、気に食わないって思ってるからか、なんか素直になれないなぁ…。 別に、上条と仲良くなりたいとかじゃないし、良い風に見られたいとかでもないんだけど、なんだろう……人として最低限? こんな調子で、みーくんに呆れられたら嫌だし…。 「お前は……本当に相澤が好きだな」 「え、あ……うん。俺には……みーくんしか、いないから」 世界に、みーくんだけ居れば…俺は満足だから。 いつだって、みーくんだけが俺のこと、考えてくれてる。俺も……この世にみーくんだけしか、要らないし。 みーくんがそばに居てくてるから毎日が楽しい。 みーくんがいなかったら、きっと楽しくない。 みーくんだけがいてくれれば、いい。別に上条なんて居なくても……居ても……一緒なんだ。 「ああ、そういえば、もうすぐ期末試験だな」 「っ……!そ、そうだった……あと二週間……」 なんで急にそんなこと言い出すの、上条!嫌なこと思い出させないで! いや……むしろ思い出させてくれてありがとうかも……勉強、しないと…… 今回、数学すごく難しいし、古典が確か範囲すっごく広い。 もう今日から必死に勉強しないと間に合わないかも……。 みーくんはまだ部活があるし、教えてもらえないしな…。ど、どうしよう…俺、来年もみーくんと同じクラスが良いのに……このままだと成績足りなくてクラス落とされちゃう…! 「……また、見てやろうか。勉強」 「えっ……えっ!?か、上条……が?」 お、教えてくれるって言った? あの、あの上条が?あんなに俺のこと馬鹿にしてた上条が? ど、どういう風の吹き回し?
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加