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自分の席について荷物を置いて、ふぅと息を吐く。そしてちらりと右隣の席に目を向けた。
俺の隣の席は常に空いてる。
もう11月も終わるけどここに座ってるやつを見たことがない。
どんなやつなのかは知ってるけど。
この学園の生徒会長。圧倒的権力を持って、その人望とカリスマ性でその地位に君臨しているやつ。
そんなやつと同じクラスで席が隣とは……幸か不幸か。まあ、関わったことはないんだけど。
「では朝のHRをこれで終わります。授業の準備をして待ちなさい」
朝香先生が教室を出た瞬間に脱力。
机にだらりと倒れ込む。
朝香先生の話聞いてる時に姿勢悪いと怒られるから頑張ってたけどもう無理。無理。疲れた。
「……みなと」
「お疲れ、みーくん」
HRが終わって、いつの間にかそばまで来ていたみーくん。まだ疲れた顔してる。
あんなに全力で走ったし、しょうがないよね。
「…起こすの遅くなってごめん」
「俺も、目覚まし聞こえなくてごめん」
最近全然目覚まし聞こえない。
毎日みーくんに起こしてもらってる。
申し訳ないとは思ってるけど…聞こえない。
ちなみにみーくんは、朝に目覚ましで起きられるけど、起きてから30分は行動不能。ぼーっとしてる。
寝起きが弱いらしい。
「みなと……教科書、持ってきた?」
「………………あっ」
普通に忘れた。
急ぎすぎてて入れ替える時間なかったから、昨日の教科書しか入ってない鞄持ってきた。
どうしよう……。
「おれも忘れた」
「だよねぇ、今日のは仕方ないよね」
「みなと、どうするの?」
ちらりとみーくんが俺の隣の席を見る。
そう、さっきも言った通り、俺の隣の席には人がいない。いるけど来ない。
それに俺、窓際だから反対側には誰もいないし。
……困ったな。
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