11月 教科書忘れた

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「お前、馬鹿か?」 「なっ…………」 失礼すぎる! いや、でも本当のことだからなんも言い返せない… 上条、目付きだけじゃなくて性格もきついなぁやっぱり…… なんか学園内でも孤高の王様とか呼ばれてるし。 こいつの性格が問題なんじゃねぇの。 「おい、何してんだ」 「……え?」 「机はお前が動かせよ」 「……あ、う、うん」 あれ……てっきり「バカなんかに教科書見せるか!」とか言って怒られるかなって思ってたけど… 見せてくれる気あるのか。 思ってたほど性格悪くないのか? 「あ、ありがとう」 「別に」 素っ気ない返事ではあるけど、嫌がってる素振りはない。なんというか、どこまでも普通。 でも、まあ。いっか。見せてもらえただけでもありがたいし。 そして授業中、俺が一生懸命ノートをとる中、上条は一切手を動かさない。 先生の話を聞いてるのかも謎だし、ぼーっとしてるだけなのかもしれないし。なんなんだこいつは? うーん、それにしても数学の先生何言ってるかわかんなすぎる。日本語じゃないみたい。無理すぎ。 「ん……んん?」 ダメだ。解いてる問題が全然わかんない。 どうやって解くのこれ。 もう授業は終わったけど、俺の数学が終わらない いや、ある意味終わってんだけど。 「うるせぇな」 「うぁっ……ご、ごめん…問題が解けなくて」 「あ?」 うわ、やっぱり上条は上条だ。こわい…… こっちが真剣に悩んでんのにそんな顔で睨まなくてもいいのに! 「こんなんも解けねぇのかよ」 「う…」 「こんなもんここら辺のシャってなってるのがこれなんだからちゃっちゃとビってやって表書いて見つけろ」 「は? ……なんて?」 いや、上条すごく真面目な顔で言ってるんだけどさ…。効果音多すぎねぇ?シャって何?ビって何? 親切にも(?)教えてくれてるのかもしれないけで全くわかんない いや、教師の説明聞いてる方が100倍はマシだろ、これ。
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