ブーゲンビリアの涙

1/4
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

ブーゲンビリアの涙

僕はもう 何もかもが嫌になった 仕事の事も 君の事も 自分自身も… 気が付いたら 僕は見覚えのある部屋に居た どこかで見た様な 落ち着く香り でも、僕は動く事が 出来なかった ここは何処だ 何故、僕はここに居るのだろうか 「ただいま 」 聞き覚えがある 僕の大好きな… 声 あ… そう 君の声だ 君の匂いだ 悲しそうな声をしている 気がしたのは 気のせいだろうか 久しぶりに見た君は … 泣いていた 「何で… やだよ… 」 君はそう言うと 僕に水をかけた 心地よい… あ… 僕は花になっていたんだ 花言葉の様に 誰よりも魅力的な君に 僕が贈った鉢植 僕は、ブーゲンビリアに なっていた 君は、枯れたから捨てたと 言っていたのに… 君は悲しそうな顔で 僕を見つめている 君に 触れたい … でも僕は 動く事が出来なかった 「何で… 」 君の涙が 僕に … しょっぱいな いつかの日の事を 思い出した 君が愛しくて堪らなかった あの日 泣き崩れる僕を 君は小さな体で抱き締めて 僕の涙にキスをした 『しょっぱい 』って 笑っていた君の顔が 愛しくて…
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!