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ブーゲンビリアの涙
僕はもう
何もかもが嫌になった
仕事の事も
君の事も
自分自身も…
気が付いたら
僕は見覚えのある部屋に居た
どこかで見た様な
落ち着く香り
でも、僕は動く事が
出来なかった
ここは何処だ
何故、僕はここに居るのだろうか
「ただいま 」
聞き覚えがある
僕の大好きな… 声
あ…
そう
君の声だ
君の匂いだ
悲しそうな声をしている
気がしたのは
気のせいだろうか
久しぶりに見た君は
…
泣いていた
「何で… やだよ… 」
君はそう言うと
僕に水をかけた
心地よい…
あ…
僕は花になっていたんだ
花言葉の様に
誰よりも魅力的な君に
僕が贈った鉢植
僕は、ブーゲンビリアに
なっていた
君は、枯れたから捨てたと
言っていたのに…
君は悲しそうな顔で
僕を見つめている
君に
触れたい …
でも僕は
動く事が出来なかった
「何で… 」
君の涙が
僕に …
しょっぱいな
いつかの日の事を
思い出した
君が愛しくて堪らなかった
あの日
泣き崩れる僕を
君は小さな体で抱き締めて
僕の涙にキスをした
『しょっぱい 』って
笑っていた君の顔が
愛しくて…
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