サンちゃん

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　友人夫婦はオウムを飼っている。
　名前は『サンちゃん』。ほんとはもっと長い名前が付いているらしいので、サンちゃんは愛称。

　奥さんが独身時代から飼っていた鳥で、結婚してからは夫婦で可愛がってた。
　サンちゃんは白くて鶏冠？が黄色でくちばしが黒い、いかにもって感じのオウムで、それがよくしゃべる。
　オハヨー、コンニチハ、コンバンハ。ひと通りのあいさつはばっちり。意味はわかってないらしいけど。
　そのとき流行っていたテレビCMのフレーズを真似したときは、オウムというのはこんなにはっきりしゃべるものかと感心した覚えがある。

　そのサンちゃんが、いつからか妙なことを言うようになったという。
　妙なことというか、聞き覚えのない名前を言うようになった。
「ユミコ、ユミコ」と。
　けれど奥さんの名前はユミコではないし、知り合いにもユミコという人はいない。
　すわ旦那の浮気か!?　と奥さんは少しだけ疑ったが、旦那本人から涙目で否定された。仮に浮気していても、夫婦で住むマンションに愛人を連れ込むほどバカじゃないと思いたい。

　特に珍しい名前でもないし、それこそテレビで聞いた名前を覚えたのかもしれない。さほど深く考えずにいたそうだ。