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これは僕が専門学校時代に友達から聞いた話です。その友人は沖縄の海辺出身でした。僕は魚が好きで特にお寿司が好きで、美味しい魚が採れる海辺は良いね、とかそんな話をしていた時でした。
でも、海は怖いこともある。そういって聞かせてくれた話です。
その井戸には海からよくないものが伝わってくる。その井戸の水を撒くと花はみな枯れてしまう、とか言われていた井戸があったそうです。
花が枯れるのはその井戸水にわずかに海水が混ざっていたかららしかったんですが、どうも地下で海と繋がっている井戸なんだそうです。
それは友人の仮にA君としておきますか。そのA君がよく遊んでいた公園にあったそうです。わずかな遊具があるだけのちっちゃな公園です。
井戸はふさがれていて、大きな木の蓋に重しの石が乗っかっていました。昔子供が落ちて死んだとか、井戸の中に何かいるとか噂が絶えず、取り壊して埋めてしまおうとよく言われていたそうですが、A君が小学校の低学年くらいまではそのまま放置されていたそうです。
落ちると危ないから絶対に蓋は取るなと親から厳命されていました。何か見ても面白いものが見れるわけでもないんで、A君も特に井戸に何かしたりはしなかったそうです。
ある夏の時分、A君は夜友達と井戸のある公園で花火をしていました。花火を遊んだ後も公園を走り回って遊んだそうです。
最初は五六人いたA君の友達も花火が終わると一人また一人と家に帰り、最後にはA君とガキ大将的な男の子だけが残ってブランコに揺られて益体もない話に興じていました。
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