監督の思い

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監督の話は続いた。 「皆さんに、お願いがあります。    皆さんは、ご家族のため、友達のため、応援してくださるファンのために頑張るという気持ちを持っていると思います。  これは、とても良いことだと思っています。  ですが、忘れてはならないことがあります。  それは、自分自身のために頑張るということです。  今までオリンピックに出るために頑張ってきたのは誰ですか?  ご家族や関係者の方のご協力や頑張りもあったと思っていて、その方々への感謝の気持ちを忘れてはならないと思います。  ですが、一番頑張ったのは、皆さん自身だと思っています。  皆さん自身が全力を出し切って、悔いが残らないようにしてください。」 選手の皆は、シーンと静まり返って、監督の言葉に耳を傾けて集中しているようだった。 「もう1つお願いがあります。  たとえ10点以上の差で負けていても、最後の1球まで決してあきらめないでください。  会場に応援に来てくださっているファンの皆様、日本で応援して下さっているファンの皆様、特に応援してくださっている子供たちに、選手の皆さんがなりふり構わず全力で戦っている姿を見せてあげてください。」 選手の皆は、監督の言葉を心に焼き付けているようだった。
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