監督の思い

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寒さ厳しい冬に全日本チームの合同練習があり、スポーツジムで筋力トレーニングが行われた。 主に足腰を鍛えるトレーニングが行われた。 もも前と殿筋を鍛えるレッグプレス、ふくらはぎを鍛えるカーフレイズオン、もも裏を鍛えるレッグカールというマシンを使ったトレーニングを中心に行われた。 また、腹斜筋を鍛えるトーソローテーション、腹直筋を鍛えるアブドミナルクランチ、背中を鍛えるラットプルダウン、胸と腕を鍛えるチェストプレス、腕を鍛えるプリーチャーカールマシンというマシンを使ったトレーニングも合同練習の終盤に少し行われた。 この合同練習中でもバレーボールに触らせてもらえなかった。 この練習に疑問を持った選手の高橋さんが監督に質問したようだが、理由は後日話すと言われて教えてもらえなかったようだ。 このような練習を続けていた全日本女子バレーボールチームは、春のFIVBバレーボールネーションズリーグに出場したが予選敗退という過去最低の結果に終わった。 このような結果でも、監督は練習メニューを変えようとしなかった。 来る日も来る日も、ランニング、階段駆け上がり、マシンを使った筋力トレーニングが繰り返された。 秋になって世界選手権大会が開催され、ここでも予選敗退という過去最低の結果に終わった。 このことがマスコミ各社に報道されて、全日本女子バレーボールチームは過去に例をみないほどのバッシングを受けた。 秋の全日本チームの合宿が開始されるときの初日の練習前のミーティングで、監督から選手の皆に話があった。 「ネーションズリーグと世界選手権の結果について、マスコミからバッシングを受けていますが、全ては私の責任です。  皆さんは何も悪くはありません。  皆さんに辛い思いをさせてしまって申し訳ありません。」 監督は、私達選手に向かって深々と頭を下げた。
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