監督の思い

5/12
前へ
/12ページ
次へ
この話に納得のいかない選手の高橋さんが意見を言った。 「監督、バレーの練習は、やらせてもらえないのですか?」 監督は、私達選手全員の顔を見渡してから、落ち着いた口調で話し始めた。 「もちろん、バレーの練習をするつもりでいます。  皆さんは、サーブ、ブロック、レシーブ、トス、アタックに関して、すばらしい技術というか、とても良いセンスを持っています。  それでも、さらにバレーの技術を向上させる練習は必要だと思っています。」 さらに高橋さんが質問を続けた。 「それではなぜ、この1年間バレーの練習をしていないのですか?」 監督は、一呼吸置いてから話し始めた。 「私は、オリンピックで金メダルを取ることを目標にしています。  そこで、前回のオリンピックでメダルに手が届かなかった原因を分析しています。  バレーの技術に優れている全日本チームがメダルを取れない理由は、2つあると思っています。  1つ目は体格の差、特に平均身長の差です。  この差を埋めることはできません。  2つ目は体力の差です。  体格の差によって体力も弱いということも考えられますが、私は体力は練習によって身に付けることができると考えています。」 すると選手の清水さんが話し始めた。 「今の練習が、バレーにどのように生かされるのか、よくわかりません。」 この話を聞いて、監督から指示が出た。 「それでは、皆さんの今の力を測ってみましょう!  体力テストを行います。」 1年前にも行われたことがあり、合宿初日に実施された。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加