監督の思い

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体力テストは、1年前と全く同じ「握力」、「立ち幅跳び」、「走り幅跳び」、「反復横跳び」、「上体起こし」、「長座体前屈」、「立位体前屈」、「垂直跳び」、「ソフトボール投げ」、「長距離持久走」、「シャトルラン」、「短距離走」と全て実施されて各選手の記録が測られた。 この日の夜のミーティングで、体力テストの結果が資料として各選手に配布された。 この結果には、各自の測定結果と全選手の平均値が、1年前と今回で比較されていた。 この結果を見て、監督は満足そうだった。 「この体力テストで、皆さんは1年前に比べて飛躍的に体力が向上しています。  特に、『反復横跳び』と『垂直跳び』が飛躍的に向上しています。」 選手のメンバも実際に数値で具体的に見ると、違いがはっきりと分かった。 「この結果、今後は練習メニューを変更します。  ですが、今までの練習をメニューから外すことはしません。  これからはバレーの基礎練習に入ります。」 監督から、サーブ、ブロック、レシーブ、トス、アタックについて、各個人の技術を向上させるための練習方法が説明され、翌日から実施されることになった。 練習は、ランニングを行った後、晴れている日は階段駆け上がり、雨の日はマシンを使った筋力トレーニングが時間を短縮して行われ、その後でバレーの基礎練習が行われた。 このバレーの基礎練習は特別な練習ではなく、サーブ、ブロック、レシーブ、トス、アタックを繰り返し行うことだった。 練習としては面白いものではないが、バレーボールに触れることができるだけ、まだましだという思いもあり、毎日繰り返し練習していた。 練習メニューは変更されることはなく、この練習も1年程度続けられた。 また、監督から具体的な指導を受けることもなく、練習は淡々と行われた。 翌年の春のFIVBバレーボールネーションズリーグと秋の世界選手権大会は、予選を勝ち抜くことはできたが、優勝圏内に入ることはできなかった。
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