監督の思い

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秋の全日本チームの合宿が開始されるときの初日の練習前のミーティングで、監督から選手の皆に話があった。 「皆さんのサーブ、レシーブ、トスの成功率は、1年前のネーションズリーグと世界選手権の試合と比べて飛躍的に向上しています。」 ネーションズリーグと世界選手権の試合の結果が資料として各選手に配布された。 この結果には、各自のサーブ、ブロック、レシーブ、トス、アタックの成功率と全選手の成功率の平均値が、1年前と今年で比較されていた。 「ただ、残念ながらブロックとアタックは、まだ成功率が良くありません。  この結果、今後は連携プレーの強化練習に入ります。」 監督から、セッターを中心にレシーブとアタックをする選手3人ずつでチームを組んで、このチームのメンバをローテーションしながら練習が繰り返された。 この時から、監督が私達選手に話しかけてくるようになった。 ただ、過去の監督と違うところは、決して私達選手にこうしなさいと命令することはなかった。 監督は、ミスや何か気になるところを見つけると、どのように対処したらいいのか私達選手に問いかけてきた。 私達は、何か考えて監督にこうしますといった具体的な対処を答えないと、話し合いは終わることはなかった。 だから、私達選手は、監督から言われて練習するのではなくて、自分自身で考えて練習するというスタイルのため、納得がいかないといったことはなかった。 この練習も1年程度続けられた。 この結果、翌年の春のFIVBバレーボールネーションズリーグでは第4位、秋の世界選手権大会では銅メダルという結果だった。
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