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私と弥一郎は、都からこの隠邇ヶ浜へと遣わされた官僚である。といっても、実際は左遷されたと言ったほうが正しい。私は三年前、仕事の不出来から無能の烙印を押され、この辺境の地への出向を命じられたのだ。名目上はこの一帯を治める役割を任されたわけだが、こんなところに治めるべき村があろうはずもない。実際に私が任されたのは、隠邇ヶ浜なる場所に流れ着くという奇妙な品々を集め、都へと運ぶという役割なのであった。
やっとの思いで官僚の登用試験に合格したというのに、ものの数年で出世の道から外れてしまったことに、私はひどく失望した。それからというもの、私は抜け殻のような生活を送り、ついに都を発つ日が来ても、何の感傷にも浸らぬまま、馬の背に揺られてこの地へ運ばれたのだった。
しかし、世捨て人にすら見放されたようなこの最果ての地で、私は自分の生きる意味を見出すことになる。
それが、「流れ神」だった。
遥か海の向こうから流れてくる、その不思議な品々はーーさながら海神が気まぐれに落とした贈り物だ。
都の学者が言うには、この隠邇ヶ浜は「この世」と「異界」の境界に位置する場所であるらしい。その異界なるところが、遠い異国であるのか、死後の世界であるのか、はたまたそれらとは全く違う場所であるのかはわからない。ただ、そこには私たちのような人間がいたり、反対にまったく見たこともないような生き物が住んでいるという。
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