道すがら食堂

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しかし、本当の狙いはそうではなかったのだ。 … … … … … 「…源ちゃぁーん、食欲ないのよねぇー…」 スナックマドモアゼルの雇われママのサユリが猫なで声で源次郎に上目遣いで言った。 サユリは出勤前は25才ほどにしか見えないのだが、 仕事が終わると40ほどに見えてしまう。 この界隈でのホステスはみんなサユリと似たり寄ったりだ。 この暑さだ、食欲のある者の方が珍しい。 源次郎は満面の笑みをサユリに向けた。 「では、あっさりとしたお料理を…」 源次郎はすぐさま調理にかかり、 数分後、一枚のプレートをサユリの目の前に出した。 「あははっ!!  もやしだけ炒めっ?!」 「のように見えるものです。  少しずつお召し上がりを」 皿に盛っているもやしは本当にもやしだけだった。 だが、少し冷えている店内なので、軽く湯気が上がっている。 サユリは源次郎の言葉通り、もやしを箸で少量掴み、口に運んだ。 「あら、珍しい…  少し濃い味だけど、これがいいわっ!!」 サユリの箸の動きがどんどん早くなる。 そしてついに、源次郎の思惑のその一部がサユリの目に飛び込んできた。 「…お肉…  ハンバーグ?」 サユリは自問自答しただけで、すぐさまそのハンバーグに箸を入れ、 口に運んで幸せそうな顔をしている。     
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