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松花堂弁当ね」
「量はそこそこありますので、ごゆっくり、少し慌ててご堪能ください」
16分割された重箱の容量はそれほど多いとは思わない。
だが食べるに連れ、胃袋はどんどん満足して行くのだ。
「源次郎、オレにもくれぇー…」
一輝は源次郎を睨みつけて言った。
「ある訳ないでしょ…
こちらのお客様のオレからのお勧めですから」
「なんでもいいから、重箱に詰めろぉー…」
一輝はただただ食欲が沸いただけだった様で、
付け合わせとはあまり被らない料理を重箱に収め、一輝に差し出した。
「一万円です」
源次郎は大いに笑った。
「支払ってやるっ!!」
一輝はやけくそ気味に言って、雛は横目でその様子を見て微笑んでいる。
「お兄ちゃんするぃーいっ!!
その羊羹ちょうだいっ!!」
雛の言葉に源次郎は驚きの眼を一輝と雛に向けた。
全く今まで気付かなかった様で呆然として立ち尽くしている。
「デザートがあるって源次郎が言っただろ…
これはオレのだっ!!」
「あ、そうだったわっ!!
源ちゃん、デザートちょうだいっ!!」
「へ、へい、今、すぐに…」
源次郎はようやく眼が覚め、冷蔵庫に足を向け、
雛専用のデザートを冷えた皿に盛りつけた。
「うわぁーっ!!
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