悔しいけど……

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「一人で平気?」 「うん。大丈夫。」 「なるべく早く帰って来るから。ここにあるものは何でも使っていいからね?」 「うん。ありがと。」 「じゃ、行ってきます。」 翌朝、紫音は仕事に向かった。 昨晩は夜遅くまで話を聞いてくれた。 いつまでいてもいい、 莉桜が落ち着くことが優先、 何度もそう言ってくれた。 尚至さんは、今ごろ何してるんだろう。 きっと私が帰ってないことも気にせず、仕事してるんだろうな。 こんな状況でも尚至さんを思っている自分に笑えてきた。 そして、逃げ出した自分に、覚悟のなさを笑った。 あれだけ覚悟したつもりだったのに、あのワンシーンだけで脆く崩れた程度の覚悟だった。 自分、弱すぎる。 どんなことがあっても我慢した涙は、流すことは簡単だった。
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