夏小僧

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「夏小僧とか、妖怪かよ」  平成最後の夏。猛暑は梅雨を蹴っ飛ばしてやってきた。  7月も頭から気温は30度に迫ってきて、海の日を挟んでの連休あたりからは連日最高気温35度。ところによっては40度とう未曾有の世界だ。  毎年「今年の夏は暑い」と言うけれど、梅雨が7月をまたがずに終わってしまったぶん暑い日が長いわけで、8月に紅葉でもしない限り今年の夏は本当に暑いのだと思う。  エアコンはもちろんフル稼働。プラスして氷マクラもしないと脱水起こして頭痛がひどくなる。 「わけのわからない夢もみるわけだ」  朝から30度ありますと情報番組が泣きそうな声をあげている。これから出勤なわけだけど、会社着くまでに干からびないことを祈るばかりだ。 「温暖化のせいだとしたら人害だよ」  涼しいエリアはオートロックのエントランスまで。自動ドアが開いたら熱気との戦いだ。 「やあ!」  短パン、アロハシャツ、ビーチサンダル。  マンションの前に知らない男が立っていた。 (なんだ?) 「やあ! 会いに来たよ!」  いい大人が大きな声で道行く人に声をかけている。私個人を狙っているわけではなさそうで、そこは胸を撫でおろすけれど。     
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